セファゾリンがオペ前に使われる理由

セファゾリンとは?

セファゾリン(商品名:セファメジンなど)は、第一世代セフェム系抗菌薬(注射用抗生物質)です。
手術前の感染予防や、皮膚・呼吸器・尿路などの感染症治療によく使われます。
 主な作用:細胞の細胞壁合成を阻害して殺菌(βラクタム系)
 投与経路:静脈注射、点滴
 副作用:主)アレルギー(発疹・発熱)、下痢、肝機能異常 など
     重)アナフィラキシー、偽膜性大腸炎

○セファゾリンが効く菌
 ・黄色ブドウ球菌(MSSA)
 ・表皮ブドウ球菌
 ・A群β溶連菌などの連鎖球菌  他
×セファゾリンが効かない・効きにくい菌
 ・MRSA(メチシリン耐性ブドウ球菌)
 ・緑膿菌
 ・嫌気性菌
 ・腸球菌

第一世代セフェムで「皮膚常在菌」に強い

 手術部位感染の主な原因は、皮膚常在菌(黄色ブドウ球菌、表皮ブドウ球菌など)
 セファゾリンは、これらのグラム陽性菌に対して非常に有効

②組織移行性がよく、血中濃度も安定

 静注後、30分以内に有効濃度に達しやすい
 組織や創部にしっかり届く(感染予防効果が高い)

③半減期が短く、安全性が高い

 半減期:1.5時間→手術中に繰り返し投与しやすい
 副作用が少なく、腎機能正常であれば安全性が高い

④ガイドラインで推奨されている

 日本でも海外でも以下のような多くのガイドラインで「第一選択薬」として推奨されている
 ・CDC(米国疾病予防管理センター)
 ・WHO手術部位感染予防ガイドライン
 ・日本化学療法学会「SSI予防抗菌薬使用の手引き」

〜使用例〜

・清潔手術→開始30分前に体重に応じた量を投与
・長時間手術(3時間以上)→追加で術中に1g再投与
・βラクタムアレルギー→グリンダマイシン or バンコマイシンなどへ代替

⚠︎MRSA予防が必要なケースでは、バンコマイシン併用(リスク高い症例のみ)

まとめ

セファゾリンの特徴
 ・グラム陽性菌(特に皮膚常在菌)に強い
 ・副作用が比較的少なく、安全性が高い
 ・点滴静注で使用し、経口薬は存在しない
  ・第一選択役として手術前に使われる抗生物質
これらの理由から、
「手術部位感染の主な原因菌に効き、安全かつ組織移行正がいいから。」
それが、ガイドラインにも裏付けされた第一選択となっている理由です。

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