MICS -CABGとは?
胸骨正中切開ではなく、左小開胸(第4〜5肋間)からアプローチ
内胸動脈(ITA)を用いた、LITA-LADが中心
人工心肺(CPB)を使わないオフポンプ(OPCAB)が主流
MICS-CABGの術前準備
麻酔:全身麻酔+片肺換気(左側開胸のた右肺換気)
体位:仰臥位+左肩下げ、左腕挙上気味
ルート確保:動脈ライン、中心静脈カテ、尿カテ、ドレーン準備 など
消毒範囲:左乳頭外側〜腋窩ライン(LITAの剥離を考慮)
MICS-CABGの基本的な流れ(LITA-LAD例)
- 左小開胸(第4〜5肋間)からアプローチ
- 左内胸動脈を剥離
・開胸器で肋間を開き、内胸動脈を肋骨裏側から剥離 - 冠動脈の露出(LAD)
・心拍下で心臓を持ち上げ、LADを露出 - 局所的な血流遮断&吻合
・シャントチューブやSnareで冠動脈を遮断し、LITAとLADを側々吻合 - 止血・洗浄・ドレーン挿入
・胸腔ドレーン、LITA周囲の確認・止血 - 閉胸・皮膚縫合
MICS-CABGの具体的な流れ
麻酔導入と体位固定
- 全身麻酔導入
片肺喚起を行うため、ダブルルーメンチューブで挿管(右肺換気) - 体位調整
仰臥位+左肩下げ気味+左腕頭側へ軽度挙上
→左側第4〜5肋間のアプローチを確保
左小開胸アプローチ(第4または第5肋間)
- 約5〜6センチの皮膚切開
- 肋間開創器で展開し、左内胸動脈(LITA)を視野に入れる
LITA(左内胸動脈)の剥離と準備
- 内胸動脈を胸骨後面から末梢まで剥離
- LITAの灌流状態・血流の確認(血管内注水など)
- 必要に応じてLITAを準備血管(free graft)として切り離すこともあるが、MICSでは通常pedicled(茎付き)のまま使用
心臓の露出と冠動脈(LAD)の同定
- 心臓を軽く挙上し、心膜を切開
- LADを露出
- 糖水または塩水で冠動脈表面の血流確認も行われる
冠動脈吻合(LITA-LAD)
- 局所的に冠動脈を一時遮断(Snareやshuntチューブ挿入)
- 細かい吸収糸(例:8−0Prolene)で側々吻合
- 吻合部の血流確認(フロー測定)を行い、狭窄・リークをチェック
止血・ドレーン挿入・閉胸
- 吻合部・剥離部からの出血確認と止血
- 胸腔ドレーンを1本〜2本挿入(心嚢・胸骨下)
- 肋間筋・皮膚の閉創